大淵の「稲垣家住宅」が、広見公園内に移築復元されてます |
稲垣家の現在の8代目当主は、木材業界の先輩で、もちろん稲垣さん(笑)。
10数年前に当時の建物を見させていただいた時に、文化財の建物で暮らす苦労を垣間見た思い出があります。
文化財の住宅といえば、高校の同級生の実家も、日本五大桜のひとつといわれる特別天然天然記念物「狩宿の下馬桜(駒止めの桜)」のある「井出家の長屋("高麗門"と"長屋")」が富士宮市指定文化財で、大学の時、建築史の課題に使わせてもらいました・・・30年も前の話です(^_^;。
稲垣家住宅は、文化元年(1804)に建てられた富士市内最古の民家ですから、これぞ"200年住宅"(笑)。
平成18年9月に稲垣さんが富士市に寄贈、同年10月に富士市指定有形文化財となり、移築保存事業は18年度から3年に渡り、移築復元工事は19年8月から20年10月にかけて行われました。
構造上の大きな特徴は入母屋形式兜(かぶと)造りの茅葺き屋根で、兜部分の空間は養蚕場として使われていたそうです。
兜造りの民家はかつて、関東山地から富士山北麓、富士川流域に多く存在しましたが、現在では激減しており、建築学的にも重要な民家です。
兜造と越屋根・3つの囲炉裏(広間、炬燵の間、土間の囲炉裏)・簀子天井・小屋組の竹・土間・富士山の溶岩で造ったかまど・藁打ち石など、当時の暮らしが忍ばれると共に建築技法として見所満載の稲垣家住宅。
移築復元の様子
稲垣家住宅の間取り
現地の「案内看板」より・・・
富士市指定有形文化財「稲垣家住宅」
・構造 木造平屋建、兜造(かぶとづくり)
片側入母屋、片側寄棟形式、茅葺(かやぶき)
・建築面積 165.22平方メートル
・旧所在地 富士市大淵(八王子町)
稲垣家住宅は、文化元年(1804)に建築された市内で最も古い茅葺屋根の民家です。富士山麓周辺においても貴重なこの建物は、明治時代中期に養蚕(ようさん)を行うために兜造の屋根に改造されたとみられています。兜造とは、両妻面に窓を開けて通風と採光を図ったもので、小屋裏部分を広く使うことが出来ます。屋根の形が兜に似ていることからその名がついています。その他、蚕を育てる部屋を保温するための囲炉裏(いろり)や、その熱が小屋裏へ抜けるように張った簀子(すのこ)状の天井板など、養蚕農家としての工夫が随所に見られます。建物の特徴的な技法としては、小屋組を縛る材料に竹を使用している点、土壁木舞(こまい)下地の間渡(まわた)し竹を止める際に竹片を打ち込んでいる点などが上げられます。これらは全国的にも珍しい技法です。
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